本日、醸匠ま津風の日替わり弁当のメニューといたしました、ウィンナシュニッツェルは、本来は仔牛肉を用いてお作りいたします。私どもでは、鶏むね肉を使いましたが、本日も大変好評をいただき、まことにありがたく存じます。
さて、冒頭の写真はヨハン・ヨーゼフ・ラデツキー伯爵(Johann Joseph Wenzel Graf Radetzky von Radetz)と申しまして、オーストリア・ハンガリー帝国の陸軍元帥を務めた人物でした。多くの方々にとりましては、毎年元日恒例のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ニューイヤー・コンサートの最後に演奏される、『ラデツキー行進曲』にその名を冠した人物としてお馴染みなのではないかと思われます。この行進曲、まさにラデツキー将軍の北イタリア戦線での勝利を記念して作られたものでした。
当時の北イタリアは、オーストリア、ハプスブルク帝国の領土だったのですが、19世紀にイタリア独立の機運の高まりの中で、宗主国オーストリアへの抵抗運動が強まりつつありました。ラデツキー将軍は、これらイタリアの抵抗運動に対し、非常に抑圧的な対応を行いましたが、驚くべきことに、そんな彼を魅了したのが、ミラノ風の仔牛のカツレツだったと言います。イタリアの独立には非寛容でも、イタリア料理の普遍性には抗えなかったのかも知れません。
ラデツキー将軍は、それを戦後母国のウィーンに持ち帰り、この料理はやがて、レモンとバターで風味をつけて、じゃがいもと共に食べるスタイルに変化して、一躍ウィーンの名物料理となりました。
料理は国境をこえて、多くの人々の財産となる一つの例かと思われます。皆様も、もし、このシュニッツェルというお料理をお召し上がりになる際、ウィーンやミラノ、そしてラデツキー将軍にも思いを馳せてみてはいかがでしょうか? また、一味違った味わいをもたらしてくれるかと期待いたしております。
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醸匠 ま津風
TEL :0879-42-2929
営業時間:午前10:30〜17:00
定休日:土日祝
住所:香川県さぬき市津田町津田2576-5
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